とまり木福祉協会株式会社×ベルグマル株式会社×株式会社ウォンツ×株式会社DAQ

法定雇用率や人手不足に困る企業と働きたい障がい者を、 EC物流で繋ぐ企業連携プロジェクト。
物流業務をCL物流センターでまとめて受託し、その作業に従事する障がい者職員を、特例子会社の所属として雇用することで法定雇用率は満たされ、障がいのある方の働く 場も生む、というもの。
センターでは物流業務と障がい者就労に関するサポートをそれぞれの専門家が行うため、入居した企業は、自社だけでは生み出せなかった障がい者雇用を、安心して任せられる。

■ポイント
❶「障がいのある方々が、働き、給与を得て、生きていく」という仕組みを物流という観点から創り出した。「物流シェアオフィス」を、このプロジェクトでスポット的に発生させただけではなく、障害者雇用ビジネスモデルとして仕組み化した。物流を通じて、遠隔地の関係企業がリソースを共有し合うという独自の仕組みである。また、地方と都市部の 賃金格差を利用し、地方に拠点があるだけでコストが下がるという独創性があり、さらに、福井県という立地からの 送料格差を利用した、コスト削減メリットがある。

❷アパレル、EC、福祉の協働により、1社では出来ないことができるようになった。障がいのある方々が実直に誠実に作業されている姿を目にし、自分たちの日々の作業を切り出すことによって、お金だけに置き換えられない幸福を生んでいることが浮きぼりにもなった。これはSDGs の「3.全ての人に健康と福祉を」「8.働きがいも経済成長も」「10.人や国の不平等をなくそう」に繋がるモデルである。職場の理解・作業のマッチング・支援者の仲立ちが揃えば、マンパワーとして立派に活躍できる方々が存在する。障がいと共生し、利益を分配することで持続可能な仕組みとなる。行き過ぎる効率主義に対して、持続可能な社会をつくっていくためには、効率は求めつつも人間性が活きる穏やかで健康な会社を作っていくことが必要なのではないか。

■ビジネスモデル
○事業の概要
DAQ の物流アウトソースをウォンツが受託。その作業に従事してもらう障がい者スタッフを、ベルグマル株式会社の(特例子会社)所属として、福井で雇用することで法定雇用率は満たされる、というもの。

○事業詳細
物流業務全体の体制構築・管理・運営をウォンツが担うことで、自社では生み出せなかった障がい者雇用のための仕事づくりを、まるごと任せられるようになる。
しかしながら「障がい者」とひと括りにはできない多様な特性への対応と職場環境作りには、やはり専門的な知識をもった運営者の存在が必要になるため、同じく福井県にあるA 型事業所の「とまり木福祉協会株式会社」と連携を取り、環境の面でも質の高いサポート体制を整備。
こうして法定雇用率の達成を目指すベルグマル、EC での物流コストの削減と物量を増やしたいDAQ、障がい者の働く場を作り事業価値と社会的価値の両立を目指すウォンツと、とまり木福祉協会社によるプロジェクトが2019年4月にスタート。
DAQのアパレル物流事業は、物量の増加と事業所規模を拡大している。DAQ は T シャツEC分野で日本のトップランナー企業である、作業量をしっかり確保出来ている。また、物流システムのプロであるウォンツが協働することでノウハウも十分にある。物流拠点には、福祉事業所が建物に同居することにより、突発的な物量増に対して人員補充を行うことも出来ている。

■工賃向上
トライアル雇用が終わり次第、賃金が20%超アップする社員が順次出始める予定。具体的には、時給830円から 時給1,000 円に向上。月給に直すと、11 万円から14万円に向上。また、障がい者社員から現場リーダーに育ち、さらなる昇給を果たした者が現れた。作業のやりがいに加えて給与額の向上を目指しており、デザインプリントの自社加工による付加価値創出や、物量拡大での売上向上による昇給・追加雇用を目指している。

■今後の展望
CL物流センターを「物流のシェアオフィス」として、 参画企業を増やしていくことで、地場企業・都市部の企業の障がい者雇用への道を開き、地方の障がいを持つ方が活躍できる場を増やすことを目指す。このような取り組みが全国に広がることで、人口減少が確定している地方の中小企業にとって、非常に重要な課題となる人材獲得の解決策にもなると考えている。

■受賞者紹介
とまり木福祉協会株式会社:www.tomarigihukushi.com
福井県鯖江市鳥羽1丁目 12-10

ベルグマル株式会社
福井県鯖江市下野田町 4-1-3

株式会社ウォンツ:www.wants.jp
福井県鯖江市石田下町 12-11-1

株式会社 DAQ:www.daq.jp
岐阜県岐阜市宇佐南 4-17-1

▲大賞受賞の様子は 「福井新聞」にて掲載されました